豪ドル/円相場は、1豪ドル=90円水準まで上伸する展開になっている。シリア・リスクの高まりを受けて、8月28日には一時86.47円まで値位置を切り下げた。ただ、その後はシリアに対する早期攻撃観測の後退と連動して地合を引き締め、8月19日以来の高値まで切り返している。8月上旬から続く86~90円をコアとしたレンジ上限を試す展開に。
9月3日にオーストラリア準備銀行(豪中央銀行)理事会が開催されたが、政策金利は過去最低の2.50%で据え置かれた。ただ、追加利下げの可能性について言及しなかったことが、豪ドルに対する買い戻し圧力に直結している。「必要に応じて見通しを分析し、政策を調整する」と追加緩和の余地を示唆するも、「引き続き高水準」とされた豪ドル相場については「時間とともに下落の可能性」が指摘されており、特に豪ドル安誘導のための追加利下げが急がれるようなトーンにはなっていない。もっとも、追加利下げの見送りには豪ドル相場が軟化するか、豪経済見通しの改善が必要不可欠であり、引き続き豪ドル相場の本格反発は難しいと考えている。豪ドル/円相場の反発シナリオとしては、豪ドルのファンダメンタルズよりも米雇用統計を受けてドル高・円安圧力が再び強まるか否かの方に注目すべきだろう。引き続き、概ね現在の安値圏での不安定な値動きを想定している。
一方、9月7日には豪総選挙が予定されている。ここで野党保守連合の大勝が確認できれば、豪政治の安定化期待から豪ドル相場に買いが膨らむ余地はある。炭素税導入を巡る混乱などから与党労働党の支持基盤は脆弱化しており、少数与党政治からの脱却が実現すると、一時的に豪ドルが買われる可能性は残る。
テクニカルでは、90.40円水準にある一目均衡表の雲下限が抵抗線に。雲上限は94.20円。サイコロジカルは、前週の6勝6敗から変わらず。14日RSIは56.74。